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【完全ガイド】浄化槽の仕組みと種類まとめ|構造・働き・管理方法を図解で解説
家庭や事業所の排水を処理し、きれいな水にして自然へ戻すための装置が「浄化槽」です。
本記事では、浄化槽の構造・種類・仕組みを図解しながら、日常管理や法定検査・費用の目安までを網羅的に解説します。
初めて浄化槽を扱う方でも、この記事を読むだけで「全体像」がつかめるよう構成しています。
浄化槽とは?なぜ必要なのか
浄化槽は、家庭や事業所などから出る生活排水を微生物の力で分解・浄化し、河川や海へ放流する装置です。下水道が未整備の地域では特に重要な役割を果たしています。
- 下水道が整備されていない地域でも衛生的な生活環境を保てる
- 自然の水循環を守り、環境保全に貢献する
- SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」にも関連
浄化槽の設置や維持管理は法律で義務づけられており、定期的な点検や清掃、法定検査が必要です。
浄化槽の基本構造(図解で理解)
標準的な合併処理浄化槽は、次のような流れで水を処理します。
- 嫌気ろ床槽(第1室・第2室):酸素がない状態で有機物を分解。
- 接触曝気槽:ブロワーで空気を送り込み、微生物が有機物を分解。
- 沈殿槽:処理水と汚泥を分離。
- 消毒槽:残留細菌を殺菌し、安全な水として放流。
このプロセスで汚水が約90%以上浄化され、川や海へと戻されます。
詳しい仕組みは「浄化槽が臭いときの原因と対処法」で、運転トラブルの観点からも紹介しています。
浄化槽の種類と違い
① 合併処理浄化槽
トイレ排水+生活雑排水(台所・風呂・洗面など)をまとめて処理するタイプ。
現行の主流で、設置補助金の対象にもなります。
② 単独処理浄化槽
トイレ排水のみを処理する旧式。現在は新設不可で、順次合併処理型への転換が進められています。
③ 高度処理型
リン・窒素を除去できる高性能タイプ。水環境の保全が求められる地域(湖沼・水源地など)で採用。
設置時の性能区分によって補助金額や法定検査基準も異なります。詳細は「浄化槽の補助金・助成金まとめ」を参照。
維持管理の基本(清掃・点検・法定検査)
1. 清掃
汚泥やスカムを引き抜く作業。おおむね年1回以上が必要。
詳しくは「清掃と保守点検の違い」を参照。
2. 保守点検
ブロワー・通気・電気系・水質などの定期点検。3か月〜4か月ごとに実施が一般的。
3. 法定検査
設置時・使用中の性能を確認する法的義務。
「法定検査(7条・11条)」で詳しく解説しています。
設置・維持にかかる費用の目安
浄化槽のコストは「設置費用」と「維持費用」に分かれます。
- 設置費用: 一般家庭用で約60〜100万円
- 維持費: 年間5〜8万円(点検・清掃・電気代など)
設置時には自治体の補助金制度を活用できます → 補助金・助成金まとめ
より詳細な見積り・費用構成は「浄化槽っていくらかかるの?」で具体例つきで解説しています。
よくあるトラブルと対処
- 臭いの発生と対処法:汚泥過多や通気不足が主因
- ブロワー故障:音・振動・通気不良を要チェック
- 流してはいけないもの:洗剤・薬剤・油の影響
早期に原因を見極め、専門業者と連携することで再発を防げます。
浄化槽と環境・SDGsの関係
浄化槽は単なる設備ではなく、地域の水循環を支える社会インフラです。
適切な維持管理は、CO₂削減や自然再生への貢献にもつながります。
- SDGs目標6:安全な水と衛生
- SDGs目標14:海の豊かさを守ろう
- SDGs目標11:住み続けられるまちづくり
浄化槽技術はアジア諸国への輸出・普及も進んでおり、日本の水環境技術の代表格でもあります。