法定検査

【浄化槽の法定検査で不合格】その後どうなる?改善命令・再検査・費用まで完全ガイド

〖浄化槽の法定検査で不合格〗その後どうなる?改善命令・再検査・費用まで完全ガイド

浄化槽の法定検査(7条検査・11条検査)で「不合格」になると、行政からの指導や再検査、改善工事など複数の対応が必要です。不合格は決して珍しいことではありませんが、放置すると法律上の義務違反となり、過料(罰金)につながる場合もあります。本記事では、不合格になった場合の流れ、対応策、費用の目安、よくある指摘事項などを専門的に分かりやすく解説します。

▶ 検査前に不合格リスクを減らしたい方は、まず「法定検査の事前チェックリスト50項目」を確認しておくと安心です。
▶ 検査結果票(成績書)の数値の読み方は、「浄化槽の成績書の見方」で詳しく解説しています。


浄化槽の法定検査で「不合格」になるとは?

7条検査(新設後検査)・11条検査(毎年1回の定期検査)の結果は、「適正」「不適正(不合格)」のいずれかで判定されます。不合格は、浄化槽の処理性能・設備状況・維持管理に問題があると判断された状態を指します。

検査結果票には以下が記載されます。

  • 不適正となった項目
  • 改善が必要な理由
  • 改善期限
  • 再検査の要否

浄化槽は「生活排水を自然に返すための重要施設」であるため、適正な管理は法律(浄化槽法)で義務化されています。不合格になった場合は、必ず改善が必要です。

▶ 検査後に届く「成績書(BOD/SS)の見方」は、こちらの記事で基準値と合否ラインまで解説しています。


不合格になる主な原因|よくある指摘項目

① 放流水のBOD・SSが基準値を超えている

浄化槽から外に出す水(放流水)の汚れの度合いを見る「BOD」「SS」はもっとも重要な検査項目です。基準値超過は「浄化機能が低下している」状態で、放置すると環境汚染につながります。

② ブロワ(エアーポンプ)の不良

  • 停止している
  • ホースが外れている
  • 曝気が弱い
  • フィルター詰まり

微生物に空気が届かず、浄化がうまく進まない原因になります。

③ 清掃(汚泥引き抜き)の未実施

年1回以上の清掃は法律で義務付けられています。清掃が遅れると汚泥が槽内に蓄積し、浄化が機能しない状態になります。

④ 配管のつまり・逆流

排水が正常に流れず、槽内の負荷が大きくなると検査で不適正となります。

⑤ 設備の破損・老朽化

マンホールのパッキン劣化、破損、蓋の浮き、仕切り板の破損など、設備面での不具合も不合格の原因です。

⑥ 点検記録簿の欠落

点検業者が実施した「維持管理記録」がない場合、適正管理がされていないと判断されます。

▶ 不合格の原因を事前に潰したい方は、「チェックリスト50項目」を参考にしながら、ブロワ・清掃・記録を見直しておくと安心です。


不合格になったあとの流れ

不合格の通知を受けた後は、基本的に以下の流れで進みます。

  1. 検査結果票の受領(不合格項目の確認)
  2. 改善指導(行政または検査機関)
  3. 改善工事・清掃・修理など必要な対応
  4. 再検査(必要な場合)
  5. 改善報告書の提出

この流れは都道府県によって若干異なりますが、全国的にほぼ共通です。
再検査が必要な場合は、追加で検査費用がかかることもあります(費用の目安は「法定検査の費用まとめ」で解説)。


改善指導とは?行政からの正式な通知

不合格となると「指導票」または「改善命令に準じる文書」が届く場合があります。これは法律で定められた手続きで、強制力を伴う場合もあります。

改善指導の種類

  • 改善指導書(任意)
  • 行政指導(強めの指導)
  • 改善命令(法律に基づく命令)
  • 過料(罰金に相当)

行政の目的は「改善して安全に使える状態に戻すこと」です。いきなり過料になることは稀で、まずは任意の指導で済むケースが大半です。


再検査は必ず受けるの?

不合格の内容により異なりますが、次のケースでは必ず再検査が必要です。

  • BOD・SSの基準超過
  • ブロワ不良など浄化機能の異常
  • 浄化槽構造・設備の破損

一方、軽微な項目(書類不備・小さな調整など)は再検査なしで「改善報告書のみ」で済む場合もあります。再検査の有無や費用について疑問があれば、登録検査機関に直接確認しましょう。


放置するとどうなる?|最終的に「過料」の可能性も

不合格のまま放置すると、自治体によって以下の行政措置が段階的に行われます。

  1. 再指導(電話・文書)
  2. 改善命令
  3. 過料(罰金)※行政処分

過料の額は条例で異なり、目安として数万円〜十数万円程度です。実際には「何年も改善せず放置しているケース」が対象となることが多く、通常は改善報告と再検査で完了します。


不合格を解消するために必要な改善内容と費用

① ブロワ不良の改善費用

  • フィルター清掃:無料〜2,000円
  • ホース交換:3,000〜10,000円
  • ブロワ本体交換:12,000〜35,000円

② 清掃(汚泥引き抜き)

  • 費用:8,000〜20,000円
  • 年1回は法律で義務付け

③ 設備の破損・老朽化

  • マンホールパッキン交換:3,000〜8,000円
  • 仕切り板交換:10,000〜30,000円
  • 蓋交換:10,000〜25,000円

④ 配管のつまり

  • 軽度のつまり:8,000〜15,000円
  • 高圧洗浄:20,000〜40,000円

▶ 法定検査そのものの料金相場は、「費用まとめ」の記事で、人槽別に詳しく整理しています。


不合格を防ぐための日常管理|ポイント5つ

  1. 月1回の点検(管理業者)を必ず受ける
  2. 強力な洗剤・薬品を控える
  3. 清掃(汚泥引き抜き)を年1回確実に行う
  4. ブロワ周り(ホース・フィルター)の管理を徹底する
  5. 雨の日の水位や臭気の変化に気づく

▶ 具体的にどこを見ればよいかは、「事前チェックリスト50項目」にくわしくまとめています。


まとめ|不合格は“改善すれば大丈夫”。放置だけNG

浄化槽の法定検査で不合格になっても、適切に改善すれば問題ありません。重要なのは「放置しないこと」です。
改善指導や再検査に正しく対応することで、法定検査の評価は元に戻ります。

▶ 不安を減らしたい方は、「成績書の見方」「費用まとめ」もあわせて読んでおくと、数値の意味とお金のイメージがつかみやすくなります。

生活環境を守り、安心して浄化槽を使い続けるために、日常管理と法定検査を確実に行っていきましょう。

  • この記事を書いた人

浄化槽の管理人

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